2025.06.07
ドローンに国家資格は必要?メリットとデメリットをまとめてみました
この記事では、ドローンの国家資格が本当に必要なのかについて、現在の制度と将来の展望を踏まえて解説します。「資格がないと飛ばせない」という情報や「趣味なら不要」という声が混在する中、実際のところ現在は趣味利用であれば資格なしでも飛行可能です。しかし、2025年12月以降の民間資格変更やDJI Mini 4 Proの型式認証取得など、業界の状況は急速に変化しています。記事では国家資格のメリット・デメリット、ドローンスクールの選び方、そして国が資格制度を設けた3つの理由まで、初心者の方にも分かりやすく解説してみました。ドローンを始めたい方も、すでに飛ばしている方も、正確な情報に基づいた判断ができるようになり、無駄な出費を避けながら自分に最適な選択肢を見つけられたら嬉しいです。ぜひ参考にしてください。
ドローンを始めたいと思った時、真っ先に頭をよぎるのが「資格って必要なの?」という疑問ですよね。
SNSを見ていると「国家資格がないと飛ばせません」という声もあれば、「趣味なら資格なんて不要」という意見も。一体どちらが正しいのでしょうか?
実は、この話にはちょっとした複雑さがあります。今回は、そんなモヤモヤを解消するために、ドローンの国家資格について現実的な視点でお話しします。
現在の状況「資格がないと飛ばせない」は本当?

結論から言うと、現在は資格がなくてもドローンを飛ばすことは可能です。
でも、これには条件があります。
趣味で使う場合
- 100g未満の小型ドローンなら、人口密集地や空港周辺などの禁止区域を避ければ飛行可能
- 100g以上のドローンは機体登録が必須(リモートID機能も必要)
- 飛行禁止区域では事前の許可申請が必要
商業利用や高度な飛行の場合
- 第三者上空での飛行
- レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行):一等国家資格+第一種機体認証が必須
- 25kg以上の大型ドローンの運用
- 第二種機体認証を受けた機体での特定飛行:二等国家資格との組み合わせで許可申請の一部が不要
これらのケースでは、すでに国家資格が必要になっています。
よくある疑問への回答

「DJIドローンでも資格は必要?」
SNSでこんな指摘を見かけることがあります。
「国家資格を取得してもDJIドローンでは航空法の禁止事項はできない。許可承認の手続きが正しい方法で、国家資格は国が認めた一部の機体にのみ適用される」
…言葉だけだと、なんだかわかりにくいですよね。
これを初心者向けに分かりやすく言い換えると、「国家資格があっても、すべてのドローンで自由に飛ばせるわけではない」ということです。
どういうことかというと…
- 国家資格は「操縦技術の証明書」のようなもの
- でも実際に許可申請なしで飛ばすには、ドローン本体も国の安全認証(機体認証)を受けている必要がある
- つまり「運転免許証+車検済みの車」のように、両方セットで初めて効果を発揮する
機体認証の最新状況
- 2025年5月23日、DJI Mini 4 ProがDJI製品として初めて第二種型式認証を取得
- これまで機体認証を受けたDJI製品はありませんでしたが、ついに第一歩が踏み出されました
- 型式認証取得機体であれば、国家資格との組み合わせで「一部の特定飛行が許可申請不要」に
「ドローンスクールは本当に必要?」
同じくSNSでは、こんな意見も見られます。
「DJIドローンで映像制作をする場合、国家資格も民間資格も法的に必須ではない。スクールに行く前に本を読んでからでも遅くない」
確かに、用途によってはスクールが必須ではないのも事実です。
国家資格のメリット・デメリット

メリット
1. 法的な安心感
- 正式な知識と技能を証明できる
- 万が一のトラブル時に説明責任を果たしやすい
2. 商業利用での信頼性
- クライアントからの信頼度向上
- 保険加入時の条件が有利になる場合も
3. 将来への備え
- 規制が厳しくなった時にスムーズに対応可能
- 新しいサービスにチャレンジする際の基盤となる
4. 飛行許可申請の簡略化
- 一部の手続きが省略される場合がある(機体認証取得機体の場合)
- 審査期間の短縮が期待できる
- 注意:2025年12月以降、民間資格では申請簡略化のメリットがなくなる(←ここが「民間資格不要説」で誤解されやすいポイント)
「申請簡略化」とは?
通常、人口密集地や夜間飛行などを行う際は、国土交通省に事前申請が必要です。しかし国家資格+機体認証の組み合わせがあれば、これらの申請手続きが不要になったり、申請書類が簡単になったりします。つまり「面倒な手続きが楽になる」ということです。
デメリット
1. 費用がかかる
- 講習費用:5万円〜100万円程度(コースにより差が大きい)
- 試験料や更新費用も別途必要
2. 現時点での実用性の限界
- 機体認証がまだ少ない(ただし、DJI Mini 4 Proなど認証機体が徐々に増加)
- 資格があっても飛行許可が必要なケースが多い(認証機体以外)
3. 3年ごとの更新が必要
- 定期的な講習受講や費用負担
ドローンスクールのメリット・デメリット

メリット
1. 体系的な学習
- 航空法や安全管理を効率的に学習
- 実技指導による確実なスキル習得
2. 試験対策
- 国家試験の一部免除が受けられる登録講習機関もある
- 合格率の向上が期待できる
3. ネットワーク構築
- 同じ目標を持つ仲間との出会い
- 業界情報の共有
スクール選びの参考
登録講習機関一覧(国土交通省)
デメリット
1. 高額な費用
- スクールによって大きな価格差がある
- 内容に見合わない場合も
2. 過剰な営業に注意
- 「資格がないと飛ばせない」という誤った情報
- 不安を煽るマーケティング手法
将来の展望:規制はどう変わる?

ドローン業界の専門家の間では「将来的には資格がより重要になる」という見方が一般的です。
規制強化の兆候
- 2022年の航空法改正でレベル4飛行が解禁
- ドローン登録制度の導入
- 機体認証制度の段階的拡大
なぜ規制が厳しくなる?
国が資格制度を設けた理由を考えると、最終的には「安全性の確保」と「責任の明確化」です。
国が国家資格制度を作った3つの理由
- レベル4飛行の実現のため
人がいる場所での目視外飛行(レベル4)を安全に行うには、高度な技術と知識が必要。そのための基準として国家資格が必要になりました。 - 急増する飛行申請への対応
実は2022年だけで7万件以上の飛行許可申請が国土交通省に殺到しており、審査が大変な状況に。国家資格があれば申請不要にすることで、お互いの負担を減らす狙いがあります。 - ドローン産業の発展支援
物流配送、インフラ点検、災害対応など、ドローンの活用範囲を広げて新しい産業を育てるため。安全な基準があることで、企業も安心してドローン事業に参入できます。
技術の進歩とともに、ドローンの利用範囲が広がれば、それに応じて規制も整備されていくのは自然な流れといえるでしょう。
結論:あなたにとって国家資格は必要?

趣味で楽しみたい方
- 現時点では必須ではない
- ただし、基本的な航空法の知識は必要
- 将来の規制強化に備えて検討する価値あり
商業利用を考えている方
- 取得を強く推奨
- クライアントからの信頼獲得
- ビジネス展開の幅が広がる
判断のポイント
- 目的を明確にする
- 趣味なのか、仕事なのか
- どんな場所で、どんな飛行をしたいのか
- 情報を正しく収集する
- スクールの営業トークを鵜呑みにしない
- 複数の情報源から確認する
- 将来を見据える
- ドローンとの関わり方が変わる可能性
- 規制強化への備え
最後に

ドローンの国家資格について、現状では「絶対に必要」とは言えませんが、「あって損はない」というのが正直なところです。
大切なのは、自分の目的に合った判断をすること。そして、スクールを選ぶ際は「資格がないと飛ばせない」といった過剰な謳い文句に惑わされず、しっかりと内容を吟味することです。
まずは書籍やネットで基礎知識を身につけ、それから必要に応じてスクールや資格取得を検討する。そんなステップを踏むのが、賢いドローンライフの始め方かもしれませんね。
参考リンク・公式情報

国土交通省公式サイト
試験実施機関
業界団体
この記事の情報は2025年6月時点のものです。ドローン規制は変更される可能性があるため、最新情報は国土交通省のウェブサイトでご確認ください。

Drone Movie Contest 2024でグランプリと審査員特別賞をW受賞。東京カメラ部動画クリエイター2023 10選に選出。国家資格・一等無人航空機操縦士、無人航空従事者1級を保持。デジタルハリウッド「空撮クリエイターコース」特別講師も。ディレクター、デザイナー、フォト・ビデオ・ドローングラファーとして活動。”自分自身が感動した”人の魅力を多角的な視点から追求・発信することをモチベーションに、クリエイティブに向き合う。(Instagram)