2026.04.15
ドローンの飛行禁止エリアが3倍以上に? 2026年法改正で変わること。
今年の甲府の桜は、3月16日に観測史上最速で開花しました。2002年と2023年の記録を1日更新して、3月24日には全国一番乗りで満開に。
そして桜が散ったと思ったら、4月11日には甲府で最高気温29度を記録。県内10地点中8地点で夏日になるなど、季節の進み方がちょっと追いつけないくらい早いですね。
季節だけでなく、ドローンの飛行ルールもまた、大きく変わろうとしています。
2026年ドローン規制法改正、何が変わる? ポイントは3つ
2026年3月24日、政府は「小型無人機等飛行禁止法(正式名称:重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)」の改正案を閣議決定しました。
この記事では、改正案の内容を整理しつつ、一等無人航空機操縦士として日々現場で飛ばしている私なりの視点も交えてお伝えします。趣味で飛ばしている方も、撮影や点検を依頼する立場の方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
なぜ今、ドローンの飛行規制が強化されるのか
今回の改正案、ポイントを絞ると大きく3つあります。
①飛行禁止エリア(イエローゾーン)が約300mから約1,000mへ拡大

これが最も影響の大きい変更点です。国会議事堂、総理官邸、自衛隊駐屯地、在日米軍基地、原子力発電所といった「重要施設」の周辺に設定されているイエローゾーンが、現行のおおむね300mからおおむね1,000mへと大幅に広がります。
面積で考えるとイメージしやすいかもしれません。半径300mの円の面積は約28万㎡ですが、半径1,000mになると約314万㎡。およそ11倍の範囲が規制対象になる計算です。
都心部や基地・駐屯地の周辺で飛ばしている方にとっては、これまで問題なかった場所が突然NGになる可能性があるということ。正直、これはかなり大きな変化です。
②イエローゾーンでの「直罰化」

これまでのイエローゾーンでは、飛行しただけでは即座に罰則の対象にはなりませんでした。まず警察官が退去命令などの措置命令を出し、それに従わなかった場合に初めて罰則が適用される仕組みだったんですね。
改正案では、この段階を飛ばして、イエローゾーン内で違法に飛行させた時点で罰則の対象になります。いわゆる「直罰化」です。
罰則は「6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」。ちなみにレッドゾーン(施設の敷地・区域の直上)は従来通り「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」で、イエローゾーンはそれよりやや軽い設定ですが、「飛ばした時点でアウト」という点は同じです。
③対象施設の拡大

天皇および内閣総理大臣が出席する行事の会場や、外国の要人が参加する国際会議の施設なども、警察庁長官や外務大臣が定めた期間内で飛行禁止区域に指定できるようになります。
つまり、事前に飛行許可を取得していた撮影案件でも、要人の訪問によって直前でキャンセルになる可能性が出てくるということです。業務で空撮を行う事業者にとっては、クライアントとの契約にこうした不可抗力条項を盛り込んでおくことも今後は検討が必要になりそうです。
なぜ今、規制が強化されるのか。
背景にあるのは、ドローンの性能向上です。
警察庁が2025年12月にまとめた有識者検討会の報告書によると、法律が成立した2016年ごろと比べ、ドローンの性能は以下のように進化しています。
- 飛行速度:時速約50kmから70~80km程度に向上。(海外製の一部は時速150kmを超えるものも )
- 映像伝送距離:200~300m程度から500m~10km程度に拡大
- 最大積載重量:80g~5kg程度から最大30kgまで増加
つまり、従来の300m圏内にいる操縦者を警察官が発見して措置命令を出すという仕組み自体が、技術の進歩によって機能しなくなってきた。今回の改正は、その現実に法制度を追いつかせるためのものと言えます。
「知らなかった」では済まされない理由

2024年10月には、航空自衛隊基地の上空でドローンを飛行させた男性が書類送検される事案が報じられています。この方は周辺に重要施設があることを知らずに飛ばしてしまったとのこと。
小型無人機等飛行禁止法は航空法とは別の法律で、100g未満のトイドローンも含めたすべての機体が対象になります。航空法のDIPS(ドローン情報基盤システム)で確認していても、この法律の対象エリアを見落としている方は少なくないのが実情です。
改正後はイエローゾーンが1,000mに広がりますから、今まで大丈夫だった場所が規制対象に変わるケースは確実に増えます。「いつもここで飛ばしてるから大丈夫」という感覚が、一番危ないかもしれません。
改正案の施行スケジュール
改正案は今国会に提出されており、成立すれば公布から20日後に施行される予定です。比較的短期間で適用されるため、早めの情報収集と飛行エリアの再確認をおすすめします。
対象エリアの確認には、国土地理院の「地理院地図」が便利です。小型無人機等飛行禁止法の対象施設周辺地域(レッドゾーン・イエローゾーン)の範囲を地図上で確認できます。
飛行前に確認しておきたい4つのこと

今回の法改正を踏まえて、飛行前にチェックしておきたいポイントを整理しておきます。
- DIPS2.0での飛行空域確認(航空法関連)
- 地理院地図での重要施設周辺エリア確認(小型無人機等飛行禁止法関連)
- 地方自治体の条例確認
- 施設管理者への同意取得や都道府県公安委員会等への事前通報の要否
特に業務で撮影を行う場合は、クライアントへの説明責任もあります。「ここでは飛ばせません」ではなく、「こういう理由で飛行エリアを変更し、こちらのロケーションを提案します」と代替案まで含めて提示できるかどうか。それが信頼につながると思っています。
AME TSUCHIでは、ドローン空撮の依頼をいただく際、飛行エリアの法的確認から現地調査(ロケハン)、各種申請手続きまで一貫して対応しています。正直、ここまでやるの?と思われることもありますが、こうした地味な準備こそが安全な撮影と確かな成果物につながると考えています。
法規制は年々変わっていきます。でも、変わらないのは「安全に、確実に、お客さまの望む映像を届ける」という基本的な姿勢。ドローンに限った話ではないですが、ルールを知り、守り、その上でクリエイティブを追求する。そこに手を抜くつもりはありません。
空撮のご相談はもちろん、「ここで飛ばしても大丈夫?」という素朴なご質問でもお気軽にどうぞ。
参考資料: ・日本経済新聞「ドローン規制法改正案を閣議決定 飛行禁止、重要施設周囲1kmに拡大」(2026年3月24日) ・東京新聞「ドローン規制法、改正へ 閣議決定、今国会に提出」(2026年3月24日) ・TBS NEWS DIG「ドローン規制強化へ…重要施設周辺約1キロ圏内飛行禁止に」(2026年3月24日) ・警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」 https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html ・警察庁「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律案(概要)」 https://www.npa.go.jp/laws/kokkai/20260324/05_sankousiryou.pdf ・国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
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Drone Movie Contest 2024 グランプリ/審査員特別賞、JAPAN DRONE CINEMA AWARD W受賞。東京カメラ部「動画クリエイター2023」10選。第8回日本国際観光映像祭2026 オフィシャルセレクション選出。国家資格・一等無人航空機操縦士(夜間・目視外)および無人航空従事者1級を取得。デジタルハリウッド「空撮クリエイターコース」講師(空撮ストーリーテリング担当)、国家資格講習の修了審査員としても活動。安全性と信頼性を重視したドローン運用を軸に、ディレクター/デザイナー/フォト・ビデオ・ドローングラファーとして、「自分自身が心を動かされた人や風景」の魅力を、多角的な視点から伝える制作を行っている。




