2026.01.28
ドローン国家資格は「必要になってから」では遅い― 事業で活かしたい人へ
※この記事は、趣味や個人利用としてドローンを飛ばしたい方ではなく、事業としてドローン資格を活かしたいと考えている方向けの記事です。
AME TSUCHIでは、全国警備業協会においてドローン国家資格の審査に関わっています。そのため本記事では、警備業界を中心に「業務への導入」を視野に入れている方を想定して話を進めていますが、警備業界に限らず、事業目的で国家資格の取得を考えている方にも読んでいただきたい内容です。
ドローン国家資格は「必要になってから」では遅い

― 事業で活かしたい人が、今考えておくべきこと
ドローンの国家資格について、こんな言葉を耳にすることがあります。
「必要なのは分かっている」
「いずれ取らなければいけないとは思っている」
ただ、その“いずれ”がなかなか来ない。
気づけば、何年も同じところで足踏みしている。
これは警備業界に限らず、ドローンを業務に使いたいと考えている人全体に共通する感覚です。
AME TSUCHIでは現在、警備業界向けにドローン講習や国家資格の審査に関わる立場として、多くの受講生から現場の話や判断を聞いてきました。
その中で強く感じるのは、資格を後回しにしてしまう理由は、意欲や能力の問題ではない、ということです。
ドローンを「便利そうな機械」で終わらせるかどうか
ドローン活用で差が出るポイントは、操縦が上手いかどうかではありません。
分かれ目は、もっと手前にあります。
ドローンを
「ラジコンの延長」
「ちょっと便利そうな機械」
として見ているか。
それとも
「今の業務の、どこを補完できるか」
という視点で見ているか。
警備業務で言えば、
・夜間巡回で、人が入りにくい場所を上空から確認する
・祭典やイベント警備で、広い駐車場の混雑状況を把握する
・小・中学校の下校時間帯に、周辺エリアを見守る
こうした使い方は、すでに実証や実運用の段階に入っています。
このイメージを持てるかどうかで、資格に対する距離感は大きく変わります。
「使えるか分からない」と感じるのは、当たり前
「うちの業務で本当に使えるのか分からない」
「具体的な活用イメージが湧かない」
これは、とても自然な感覚です。
ただ一つ、はっきりしていることがあります。
資格を学ぶ前に、活用イメージが完全に見えることはほとんどありません。
なぜなら、
・法制度
・運用ルール
・責任の所在
これらを知らないままでは、どうしても“想像”で止まってしまうからです。
資格を学ぶ過程で初めて、
「現実としてできること」と
「できないこと」
が整理されていきます。
日本の現場では、資格が「判断材料」になる
日本では、前例がないことに慎重になりやすく、責任の所在が曖昧なものは敬遠されがちです。
警備業界では、なおさらです。
だからこそ、資格と制度理解があるかどうかで、
・話が前に進むか
・検討で止まるか
が変わります。
資格は、「飛ばせます」という主張ではなく、
「この条件なら成立します」と説明するための材料になります。
資格は、思い立ったときにすぐ取れるものではない
ここは、少し現実的な話です。
国家資格は、ある日突然「今日から必須」と言われるものではありません。
ただ、
・制度が変わった
・業務内容が変わった
・発注者から条件として求められた
その瞬間に、「資格があるかどうか」で分かれる場面は必ず来ます。
学習、講習、試験。
これには、必ず時間がかかります。
そして、資格を取ったあとに積み重なる知見や経験には、さらに時間が必要です。
制度を理解し、現場でどう使えるかを考え、実際の運用を想定できるようになるまでには、どうしても“慣れ”と“経験値”が要ります。
だからこそ、必要になってから動く人は、「資格は取れたが、まだ使えない」という状態に陥りやすい。一方で、早めに資格に触れていた人は、知見も判断材料も、すでに手元にあります。
この差は、あとから一気に埋められるものではありません。
現場で判断を求められたとき、資格だけでなく「考えた経験」があるかどうか。
そこで差が出ます。
警備の現場で、「必要になってから人を育てる」が難しいのと同じです。
備えていた人だけが、慌てずに次に進める
資格を取ったからといって、すぐに何かが変わるわけではありません。
売上が急に伸びることもないでしょう。
それでも、
・制度を知っている
・資格の位置づけを理解している
・業務への落とし込みを考えられる
この状態にある人は、必要になったとき、慌てません。
準備していた人だけが、静かに次の選択肢を出せます。
講習は「操縦練習」ではなく「考えるための入口」
警備業界向けに行われているドローン国家資格講習は、デジタルハリウッド・ロボティクスアカデミーが主催しています。
全国警備業協会で開催されている講習は、警備業界向けとして実施されており、会場や業界連携の面で協力されています。
ここは、操縦が上手くなるだけの場ではありません。
制度を知り、
運用を考え、
自社業務に使えるかどうかを判断するための場所です。
警備業界以外の方は、ロボティクスアカデミーの公式サイトをご確認ください。
最後に
ドローン資格は、「いつか必要になったら取るもの」ではありません。
必要になる前に、備えておくものです。
迷っているなら、まずは知ること。
判断できる材料を、今のうちに持っておくこと。
それだけで、選択肢は確実に増えます。
この話は、「今すぐ全員が資格を取るべき」という話ではありません。
ただ一つ、確実に言えるのは、必要になってから動くのでは、遅い場合がある。
ということです。
ドローンを一時的な話題で終わらせるのか。
事業の選択肢として残しておくのか。
その分岐点に、国家資格があります。
迷っているなら、まずは知ること。
判断材料を、今のうちに持っておくこと。
それが、後から慌てないための、一番現実的な備えではないでしょうか。

Drone Movie Contest 2024 グランプリ/審査員特別賞、JAPAN DRONE CINEMA AWARD W受賞。東京カメラ部「動画クリエイター2023」10選。国家資格・一等無人航空機操縦士(夜間・目視外)および無人航空従事者1級を取得。デジタルハリウッド「空撮クリエイターコース」講師(空撮ストーリーテリング担当)、国家資格講習の修了審査員としても活動。安全性と信頼性を重視したドローン運用を軸に、ディレクター/デザイナー/フォト・ビデオ・ドローングラファーとして、「自分自身が心を動かされた人や風景」の魅力を、多角的な視点から伝える制作を行っている。



