2025.12.12
空の高さを整えて、企業の“いま”を記録する。
シチズン電子様・高高度300mの記念空撮
富士山と社屋をひとつの画角に収める——10年ごとに撮影されてきた記念写真。
これまではヘリコプターでの撮影でしたが、今回はドローンでのご依頼をいただきました。
ドローン技術の進化により、同等の高度からの撮影が現実的な選択肢になったことが背景にあります。
ご依頼のメールには、過去の写真が添付されていました。
それを見た瞬間、「相当な高さから撮られている」と直感し、まずは高度の読み取りから作業を始めています。
構図として必要な高さを逆算すると、ドローンで安全に飛ばせる上限付近=およそ300m前後が適切だと判断しました。
300mという高度は、一等無人航空機操縦士としての知見と経験が求められる領域。
ここから先は、準備の精度がそのまま結果に直結します。
現地で、条件をひとつずつ整える
撮影地は富士吉田市。
まずは足を運び、周辺家屋や地権者の方々に事情を説明するところから始めました。
離発着場所の選定で重視したのは、次の3点です。
・安全に離発着できること
・第三者との距離が確保できること
・構図上の視界が抜けていること
これらを満たす場所を、一つひとつ確認しながら慎重に選びました。
高高度の撮影では、こうした”地味だけれど最後に効いてくる準備“が欠かせません。
ここを丁寧に進めることで、本番での判断が大きく変わってきます。
高度300mが意味するもの
ドローンで150m以上を飛行する場合、通常の申請に加えて空域管理者との調整が必要になります。
今回の撮影地は、航空局だけでなく、横田基地(在日米軍)が管轄する空域にも含まれていました。
正直なところ、当初の想定を超える”イレギュラーなケース”です。
複数の機関に対して、以下の情報を正確に提出し、整合性を取っていく必要がありました。
・飛行目的
・座標(十進法)
・海抜高度
・飛行方法(一点ホバリング)
・時間帯
・使用マニュアル
高高度の申請では、こちらが理解している前提と、システム上で求められる表現の”ほんの少しの差”が許可の可否を左右します。
実際、今回も提出後に複数回の補正が入り、記載方法や理由づけを細かく整え直していきました。
防衛局への照会も同様で、相手側の運用に支障が出ない形に情報を揃えていく必要があります。
一つひとつの項目は理解している内容でも、「許可を得るための精度」にまで高める作業は、現場とは別の難しさがありました。
こうしたやり取りを丁寧に積み重ねて、ようやく当日の300m飛行に臨める状態が整いました。
当日の空気と、300mの手触り
撮影当日は、朝の冷たい空気がまだ残る時間帯。
風の流れ、雲底の高さ、機体の状態——ひとつずつ確認してから離陸しました。
高度を上げていくと、200mを過ぎたあたりから空気の密度が変わります。
300m付近では送信機に強風の警告が表示されました。
この状態では自動帰還機能が使えません。万が一の際は、すべて手動で着陸まで行う必要があります。
どこまで高度を上げられるか。どこで留まるべきか。
風の揺れ方や機体の挙動を見ながら慎重に判断し、必要な構図を確保して撮影を進めました。
地上では穏やかに見えた空も、300mでは別世界。
ここは、準備と判断がそのまま結果になる領域でした。
構図の調整と、10年越しの一枚

今回は記念用途のため、複数の角度から撮影した中から、過去写真と並べても違和感のない一枚を選定しました。
ヘリとドローンでは安全上の制約が異なるため、”まったく同じ構図”にはできません。
それでも、距離・高さ・画角を丁寧に整えることで、10年の時間をまたいでも自然に並べられる仕上がりになりました。
過去の写真と、今回の写真。
撮影方法は変わっても、「この場所から会社を見守る」という視点は引き継がれています。
プリントとしての最終仕上げ
撮影した写真は、社内に展示されるとのこと。
担当者の方と構図や色味の細かい調整を重ね、フレームに収まった際の見え方まで含めて仕上げていきました。
撮影して終わりではなく、”飾られた時の姿”まで整える。
記念写真ならではの工程です。
制作を終えて
今回の撮影は、現地調査、安全管理、行政調整、当日の判断、プリント仕上げ——すべてが揃って、ようやく成立する案件でした。
ドローン空撮は、ただ飛ばして撮るだけではありません。
特に300mという高さは、”どう飛ばすか”よりも”飛ばすために何を整えるか”が問われる領域です。
当初は想定していなかった横田基地との調整も含め、大きな案件になりました。
それでも最後に、担当の方からこんな言葉をいただきました。
「今回の撮影を大沢様へ依頼させて頂き大変良かったと思っております。」
その一言で、すべてが報われた気持ちになりました。
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